こんにちは!

今回のブログは1月26日から始まっている「電子処方箋」について、ちょっと真面目に触れてみます。


1.背景と経緯

2023年1月26日から外来医療における電子処方箋が開始され、その仕組みや運用、および国民への広報案内がされています。

調剤薬局や病院などでは認識されているでしょうが、まだまだ一般の方や患者さんは知らない方が多いと思います。

さらに「オンライン資格確認システム」➨「マイナンバーカードの保険証の利活用での顔認証システム/患者情報等の一元化へ」が医療機関導入の原則義務化が4月から始まります。「骨太方針2022」での医療DXの始まりです。

その1つが「電子処方箋」でもあります。その経緯は、平成28年3月に厚生労働省において「電子処方箋の運用ガイドライン」が策定され、令和2年4月改定にて運用上の課題点等の見直し、円滑な運用を目指しました。しかし①医療機関と薬局の地域医療情報連携ネットワークが数少なく、②フリーアクセスでの処方箋応需の背景から、想定していた地域医療情報連携ネットワークでの運用が把握できず、公的ネットワークに依存せざるを得ず、データヘルス改革に関する閣議決定(令和2年7月17日)の取り組みの一環として、2022年夏を目途にその運用が開始することになり、「新たな日常にも対応したデータヘルスの集中改革プラン」(令和2年7月30日)におけるオンライン資格確認等システムやマイナンバーカード、既存のインフラ(電子カルテなど)を最大限に活用した仕組みの構築することになったのです。

2021年8月からシステム準備、法案成立、医療機関や薬局へ対応準備、国民への広報などを通して、2022年10月下旬から山形県酒田地域をはじめとする4地域でモデル事業(22.12/20現在で32施設が運用)を経て、今回の電子処方箋管理サービスの運用を開始することにしたのです。しかしサービス運用は義務化にはしていません。 

2.電子処方箋管理サービス運用の目的・効果とメリット

当初の目的と効果は、①紙の処方箋が無くなること(偽造や再利用の防止、コストの削減、遠隔診療の利便性、保管スペース等を削減、情報量に物理的な制約がなくなるなど)②処方・調剤情報が電子化すること(薬局と医療機関での照会や伝達および患者情報の反映が容易、調剤入力等の労務が軽減され、誤入力等が防止、処方箋の事前送付をより待ち時間の短縮など)③電子化した処方・調剤情報を共有すること(医療機関と薬局の情報共有化と適切な薬学的管理、重複投薬防止、患者の薬剤情報を一元的確認、マイナポータルや電子版お薬手帳の活用促進など)の3点が「令和2年度 オンライン資格確認の基盤を活用した電子処方箋管理サービスに関する調査研究事業報告書」で挙げられています。

基本的考え方は、オンライン資格確認等システムを基盤として活用する仕組みとなっており、「処方箋の電子化」により「処方・調剤情報の活用」を一体的活用していくものとされています。

厚生労働省が行っている令和4年での3回(7月25日、10月17日、12月23日)のオンライン説明会では、患者の重複投薬と併用禁忌の確認の有用性と処方箋の保管・管理作業の削減、緊急時や災害時の対応等を強調して挙げています。

また令和4年10月28日「電子処方箋管理サービスの運用について」には、医療機関や薬局、患者や家族の主なメリットがに示されています。

3.HPKI(電子署名)カードと導入状況

電子処方箋での運用は、発行する医師側、受け取り調剤を行う側の薬剤師においては、電子署名をする必要があり、それにはHPKIカードの取得が必要となります。HPKIカードの取得により、医師側は電子カルテのログイン時にPIN入力しておけば、そのまま運用が可能になります。しかしHPKIカード取得には費用がかかることから、補助金が設けられており(医療機関向けポータルサイドから申請)、令和5年度に関しても継続するようになっています。また運用を推進する観点からカードレスも可能になっています。(電子署名でのナンバーは取得の上、読み取り機であるカードリーダーの台数節約)

今後の電子処方箋の導入準備作業は、システム業者がオンライン資格確認システムの導入での作業もあり、すぐに対応が難しいことから、事前に相談して改修等を含めた期間を確認しておくことや遠隔操作での可能性なども把握しておく必要です。

医療機関ごとでの既存システムの導入状況によって、電子処方箋への運用には、改修費用が個々で異なるので、システム業者への相談および厚生労働省でも問い合わせを受け付けており、補助金予算も令和5年度で130.9億円程度が用意されています。

“紙ベース”から“電子媒体”へと薬剤情報や健診情報などが移行していくことにより、患者側の同意は必要ですが、患者情報の一元化、患者側としては、災害時や緊急時でも安全に診療を受診でき、また医療提供側も情報に沿った診療提供が迅速にできるメリットはあると思います。今後の医療DXの裾野の広がりは、オンライン資格確認システムの普及であり、マイナンバーカードの保険証での利活用が根幹で、最終的に「全国医療情報プラットホーム」の構築がで、今はその半歩前進のように受け取れます。

株式会社A&Kメディコンサル.com 佐藤勝浩

※追記…可愛い孫娘の柊ちゃんと花ちゃんには、1/19以降会えておらず、バレンタイン      ディは画像でが送られてきました。